アメリカに来てから知りましたが、毎年5月はAANHPIと言われる期間で、アジア系アメリカ人の文化の多様さや、アメリカ社会への貢献を称える期間なのだそうです。
今回は近くの大学で行われるAANHPI Celebration のイベントに混ぜていただき、とても素敵な思い出になりました。
<目次>
1.ただただ、アメリカで着物を着てみたかった
アメリカに来るときに、母から「もしかしたら外国の方が、着物を着るチャンスがあるかもしれないよ。使っていない着物があるから、持っていきなよ。処分して帰国していいよ」と言って、着物道具を一式詰めてくれました。私自身は「襦袢って何?」というレベルの知識でしたが、一度も着られたことのない着物で、せっかくきれいなのに可哀想だな、いつか着てあげたいなと思っていました。
しかし、なかなか着る機会はなく・・・。正確に言うと、機会はあってもハードルが高すぎて着られず。
自分が着物のルールをわかってなさ過ぎて・・
「柄が年齢にあってない」「柄が季節やTPOにあってない」「目上の方より派手なのはちょっとね~」などなど、目の肥えた方の前に立つのが恐ろしく、これまで作ろうと思えばあったはずの機会を見送ってきました。
このままでは、本帰国を迎えてしまいそう。今回「着物を着てくださる、日本人の方をボランティアで募集します」と周知されているママさんがいらして「是非に!」と母子で参加を希望しました。
2.コーラスって素晴らしい
(1)久しぶりの「チームワーク」体験
これが思いがけず、心揺さぶる体験になりました。
コーラスパートがある方は、もちろん自宅で練習を重ねてこの場に来られたのかと思いますが、私なんかは全員初対面で、本当に「着物を持っているだけ」のボランティアでした。
私のような「今日、来たばっかりの人」も巻き込んで準備やリハーサルを進めていく先生のリーダーシップが、本当に素晴らしかった。
(2)子供の「好き」を伸ばす声掛け
私の娘は歌が好きで、つい他の人のパートも歌ってしまうので、私はいつも「舞台ではダンスだけね。歌わないでね」と言っていました。
しかしリーダーの先生含め、みなさんが「歌っていいのよ!」と言ってくださり、娘は結局壇上でもずっと小さな声で歌っていました。
終わってから「上手だったわね~」と声掛けをいただき、娘はとても嬉しそうでした。自己肯定感爆上がりで、ますます歌が好きになったと思います。
子供への声掛け、姿勢について考えさせられる出来事でした。親(大人の)心の余裕って大事ですね。
(3)子育てが終わった後に、私もこういう場を持ちたい
また、コーラスは小学生からプロの歌の先生まで、多様なメンバーで構成されていました。みなさんとても楽しそうだったのが記憶に残っています。
仕事以外の場面でも、幅広い人たちと関わりながら、ハリのある時間を過ごす。
音楽の力って偉大だな~と思うとともに、好きなことを極め、その分野で人と交流する・自分の居場所を作ることはとても素敵だと思いました。
子育てが終わった後に「自分がどうなりたいか」のイメージが全く湧かない私ですが、今回出会った皆さんのように、何かしらのライフワークを持ち、自分が楽しめる場所を持っておきたいなぁ、と。自分の遠いtodoリストに、イメージが追加されました。
みなさん本当に素敵で、着物をもっているだけでこのような場に混ぜていただき、本当にラッキーでした。
3.アジア系アメリカ人と食生活の話
アメリカに暮らしていると、アジアのみなさんがいてくださることを、とても頼もしく感じます。
日本人の方はもちろん、日本以外でも台湾・韓国・中国・ハワイ日系人…やっぱり感覚が合うと感じます。一緒にいて安心できるし、アジアの友人にたくさん助けていただきました。
彼らと交流する中で、個人的に意外だったのは、文化継承の観点で、食文化がかなり強力なツールなのではないか、ということです。
子供をバイリンガルに育てるのはとっても大変…。中国系のアメリカ人の方など、もうアメリカが長くて、中国語は学んでいなかったりするケースもよくあります。もちろん、見た目でも、アジア系だと全く分からなかったりします。それでも、家庭の中では食生活はしっかり中国だったりしていました。
「そうか、食事はアイデンティティ形成につながるんだな」と、一つ学びました。
日本語を教えるのも、日本の祝日を教えるのもよいですが、案外身近にあった「ごはん」という強力な文化資源。
ピザもパスタも美味しいですが、子供たちに日本食もしっかり作ってあげようと思いました。