アメリカでの主婦生活を淡々と記録するブログ

アメリカ生活の備忘録。育児の思い出記録が中心です。慣れない環境で頑張って生活していますが、喉元過ぎれば自分でも「何を頑張ってきたか」忘れてしまうので、アメリカで頑張って来たことや悩み事、楽しかった思い出の備忘録として書いています。

人種差別とは、オバケのようなもの。見える人には見える、見えない人には見えない

今年のオスカーの助演男優賞の授賞式動画を見ました

ロバートダウニーJrが、昨年同賞のキーホイクァンからトロフィーを受け取るときに、白人のダウニーJrが、アジア人のキーをガッツリ無視した感じでトロフィーをもぎ取り、他の人とだけグータッチなどをしている動画を見ました。

ネット上では、これがアジア人差別だと物議を醸していました。
これが、アメリカ生活で感じる心のモヤモヤとすごく近い気がしました。

これまでのアメリカ生活について、人種問題への考えの変化を記載します。

<目次>

1.動画を見た感想:これアメリカでよくあるやつでは?

初めて動画を見たときに「え?これって人種差別なの?」と思いました。

なぜなら、こういう光景はアメリカでよくあるからです。
人種差別のイメージって、「釣り目のポーズをされる」「しつこくニーハオって言われてからかわれる」的なイメージがありましたが、そういうことをする人って(少なくても私の生活圏内には)全くいません。

むしろこの「いるのに、空気のような扱いを受ける」ことの方は、あるかもしれません。でもこれが差別だということに気づいていませんでした。この、オスカーの動画の炎上をきっかけに、これが差別だと知ったのです

 

2.人種にまつわるエピソード集

以下、アメリカ生活1年8か月、人種関係で違和感のあったエピソードをかき集めてみます。私が住むワシントンDC郊外は、わりと都会で多国籍な環境のため、アメリカ全体からすれば、人種差別が発生しにくい環境だと思います。

そのうえで、ここでも人種差別は「ある」んだろうなと思いますが、あったとしても「あまり気にならない」というような感覚です。

 

(1)引っ越し会社からいただいた、アメリカ生活パンフレット

大手引っ越し会社から、「アメリカ生活の手引き」のような冊子をいただきました。
原文は忘れましたが「人種間で生活面や経済面で格差がある」「白人は強固なコミュニティを形成しており、容易に入ることはできない」と書いてありました。

 

(2)公園で出会った白人のお父さん

公園で出会った知らないお父さん(白人)が、女の子と遊んでいました。

その女の子が、明らかにうちの子供たちと一緒に遊びたがっていて、何度もこっちに来ていましたが、お父さんは嫌そうでした。さりげなく他の遊びに誘導していましたが、3回目くらいで、強制的に移動させてしまいました。

「私たちの遊び方のお行儀が悪かったかな?」「あの親子、コロナの外出自粛期間なのかな?」と思いました。

「差別された!と明確には断言しづらいが、ちょっと嫌な感じ」の、初めてのパターンでした

 

(3)「あなたの幼稚園は、白人主義のところらしいよ」という口コミ

まだ現在の幼稚園に入園する前の話です。公園で知り合った日本人のママさんに「あなたの幼稚園って白人主義って聞いたよ」と言われました。
白人で、日本人(アジア人?)は自宅に招かない主義の方がいるそうで、そういうケースでは、よくわからない理由をつけて、誕生会なども呼ばれないということでした。

「○○さんから聞いた話だよ」と、実際に通っているママさんの名前もついた噂話だったので、なかなかリアルに感じました。

 

(4)先輩ママに聞いてみた

噂の出元の「○○さん」ではないですが、幼稚園の入園後に、仲良くなった日本人の先輩ママに、(3)の話について聞いてみました。

これが人種差別だ、と確信に至った経験はないけど、たまに、白人で冷たい人はいる。白人の親子(A親子)とプレイデートをしたときに、ママがこちらに全く関心を示してくれずに、ずっとスマホを見ていた」とのことでした。

 

(5)そういえば、誰も私に話しかけてこないなぁ

幼稚園に入る前後で(3)(4)を聞き、少し身構えましたが、実際は温かい方の方が多く、人種に関するアレコレを忘れたまま1年ほど過ぎました。

2年目の新学期冒頭、新学期で初めての誕生会へのお呼ばれの時。

新学期である程度、保護者のメンバーもシャッフルされたので、保護者同士の顔合わせのような雰囲気もあった場でした。

ある程度いろいろな方とお話ししましたが、中盤で「あれ、そういえば、私っていつも自分から話しかけている。誰も、向こうから私に話しかけてくれない」と気が付きました。

ロバートダウニーJrの授賞式の動画のSNSコメントに「アジア人は透明人間扱い」というコメントがついていましたが、この日の私は確かに透明人間のようだったと思います

 

3.それでも、人種差別はあまり気になりません

(1)人種を全く気にしない人の方が多い

最初に身構えて入った幼稚園でしたが、人種差別の恐怖をすぐに忘れることができたのは、息子に初めてできたアメリカ人の友達が、白人だったことも大きいように思います。日本のことに興味を持ってくれたし、アメリカのこともいろいろ教わりました。

それと、アジア系アメリカ人(2世、3世)や、南米からの移民も多数いて、私が白人だと思っていた方も、実は白人じゃなかった、というパターンもありました。
白人に限定したお付き合いをしていたら、この街では逆にマイノリティになる・・・・そういう多国籍都市に住んでいます。

(2)「子供同士の仲の良さ」問題でもある

子供の英語力が上がるにつれ、子供が自分で学校内でお友達を作ってくるようになりました。すると、私たち親子もどんどんプレイデートに誘われるようになりました。1年目は敬遠していたママも、子供たちが友達になると、実はとてもフレンドリーな方だということが判明したりしました

子供がそれぞれ、自宅でうちの子供たちの話をしているようで「あなたが○○(息子の名前)のママね!いつも話を聞いているよ。今度プレイデートしない?」的に、興味をもってもらえるようになったのです。

 

振り返ると、上述2(5)の、年度初めのバースデーパーティで透明人間化した件も、子供同士で既に仲良し関係があり、その親同士で話していたと推測します

うちの子供はこのとき、まだ英語力が少し足りなくて、新学期に新しい友達を作れずにいました。

なので、私たち親子を避けていたということはなく、「ただ自分の子供から日頃話をよく聞いている子のママに、やっと挨拶できる機会」ということで、仲良し同士で夢中に話せる場・・・そういう日に、私たち親子にはその相手がいなかった、というだけの話でした。

ただ「あれ?これってアジア人だからかな・・・(涙)」という逡巡は、決して白人の方は抱えることのない感覚だと思いました。

 

(3)それなりに友人がいる

もしかしたら「アジア人の親子とは親しくなりたくない」という白人家庭も実際にいるのかもしれません。仮にいたとしても、「そうじゃない」親子と仲良くする方針で、それなりに楽しくやっているので、気にならなくなりました。

(4)人種差別問題は、英語ができるようになってからが本番

我が家の英語力で言うと、何か嫌な思いをしたとしても、「アジア人であるから」以前に「英語力がないからかな」と先に思います。実際、子供たちはともかく、私の話は、ネイティブのママにとってはつまらないだろうと思うからです。
残念ながら、自分は人種差別を語れる土台に立てていないと思っています

 

4.心残りなこと、不安なことがあるとすれば

(1)子供が仲良くなりたいお友達が、白人だった時

ひとつだけ心残りがあるとすれば。

まだ息子が英語ができなかったときに、2人目のネイティブのお友達を作ってきました。これが前述2(4)の、アジア人に冷たいと噂のママ、Aさんの子でした
プレイデートを申し込めば、子供同士は普通に遊べるし、息子にとってもハッピーであるとわかっていましたが、Aさんが怖くて申し込めませんでした。
(その後、Aさんはアジア系にもとてもフレンドリーな方であることがわかりましたが、一歩踏み込んだ関係になると、やっぱりアジア系への敬意は少し足りない方であると聞きます)

 

(2)バースデーパーティに誰も来なかったらどうしよう

日本人の自宅や、誕生会に来たくない白人もいるのでは?という不安がずっとあります
また「別の子の誕生会と重なったとき、こちら側に参加してくれる子はまずいないのでは?」という感覚があります。
正確には、人種問題だけでなく、英語力の問題も含めて「自分の子供は、あまりクラスの中でも人気者ではないだろう」という感覚です。
(子供自身はそう思っていないようで、それが強みでもあります)

(3)子供同士が、人種差別をしあう年齢になったら?

我が家の場合は、子供が子供ならではの力で、人種問題を解決してくれました
仮に、心の中でアジア人が好きじゃないにしても、子供の友達家族であれば、アメリカ人は最大級のおもてなしをしてくれます。
でも、子供同士も差別をし合うような年齢になったら、状況はよりシビアだと思います
アメリカで子供を成人まで育てた日本人の奥様が「日本人なんて、白人の視界には全く入っていないのよ。いじめる、とかそういうことはないけれど、本当に視界に入っていないの」とおっしゃっていたことが印象的です。
子供たちが多感な年齢で、もう一度駐在の打診があったら。。。この点で深く悩むと思います。

5.人種差別というオバケ

(1)見える人には見える

私は自分が幼稚園児の頃に、アメリカの別地域に住んでいました。

動物園に行ったときに「サルがサルを見てる!」とサル園の前で言われた話を聞かされてきましたので、人種差別といえば、こういう暴言系をイメージしていました。

 

実際に今回アメリカで生活してみて、身近で「差別よね」なんて言われているのは「ちょっと嫌な感じだけど、これって差別なの?」という、ジワジワ系差別です。

英語力も関係していて、英語ができなければ、差別に気が付きません。

これはオバケのようなもので・・・同じ経験をしても、全く気にしない人もいれば、すごく気にする人もいると思います。
アメリカ生活が長くて、いろいろ経験されている方は、霊感のアンテナが研ぎ澄まされているかもしれませんが、私なんかは気づかずスルーしていることもあると思います。

 

(2)日本人同士でもあるよね

今回人種差別の話でしたが、こういうのは日本人同士でもあると思います。
ちょっとボスっぽい日本人の奥様がいたときに、あるママが「ボス奥様は、私には挨拶をしないし、みんなで話しているときも絶対に私には話題を振らないんだよね」と言っていました。

こういうこともあるので、私はこの「透明人間扱い」が、人種差別と言っていいものだと、知りませんでした

 

(3)オバケが見えたら「見えました!」と指摘していい

今回のオスカー授賞式の炎上で、興味深いと感じた引用RPは「差別されたと思ったら、抗議しないといけない」というものでした。

透明人間扱いを受けたら「あなたはそれを差別と思っていないかもしれないけど、受け手は差別だと感じることがあるから、やめたほうがいい」と相手に伝えましょう、いうものです。

自分が「オバケ見えた!!」と思ったら、「オバケはいる」ということに自信をもっていいし、退治しに行っていいんですね。