子供の不適切な行動を正す
だんだん講義も後半戦に入ってきて、実際の子供の不適切行動に対する処方など、実践的な内容になってきました。
1.なぜ子供は不適切な行動をするのか
- 身体的欲求が満たされていない(疲れた、空腹、体調が悪い)
- 心理的欲求が満たされていない(愛、注目、怒り、おそれ、楽天、自信喪失、拒絶、不安、退屈など)
- 力(限度を探っている、自己主張、自己防衛)
- 変化(ルーティーンや環境が変わった)
- 理解度(知識不足、経験不足、指示不足)
- 模倣(親、同僚、メディアの影響)
2.子供の行動改善を促す処置の例
具体的な処置の例としては下記のようなものがあるが、これらはあくまでテクニックにすぎない…。仮にうまくいかない場合は、状況にうまく処置が合致していないと思われるため、執着しすぎないことが重要。
- 安心させる(ハグをする、優しく語り掛ける)
- 気をそらす(おもちゃを使用したりして、怒りから気をそらす)
- ゲームをする(「誰が一番に片づけを終えるか競争しよう!」など)
- WHEN..THEN(嫌なことをやったら、そのあとに、子供が望むことを行うと約束する)
例:お片付けが終わったら本を読んであげる - タイムアウトさせる(1分間おもちゃを使わずに椅子に座らせる)
3.続!行動改善を促すテクニック
1.子供に選ばせる
子供に自ら選択させることで、子供は自分の力を認識し、自分の行動を律することや、自分の行動によって責任が生じることを学ぶことができる。
例:着替えのときに、服を選ばせる
食事のときに、コップを選ばせる
お風呂の時に、遊んでからお風呂に入るか、お風呂に入ってから遊ぶか選ばせる
遊びのときに、どんな遊びをするか選ばせる
2.選択と結果
子供に何かを選択させるときに、まず選択肢を提示し、選択の結果どうなるか伝える。
例:ふざけずにご飯を食べるのなら、引き続き食べてもよい。このまま遊び続けるなら、席を立って向こうに行きなさい。
※「片づける?」とは聞かずに、「車と絵本、どちらを片付ける?」と聞く
選択と結果を示すときに、大切なこと
- 脅さない(例:妹を離さないと、おまえの首を折るぞ!)
- 極端なことを言わない(例:今すぐ黙らないなら、もう二度と口を聞かない!)→親の言葉は一過性のものであると覚えてしまう
- どちらを選んでもよい質問を使う(例:コートを着るか?と聞き、子供がNOと行ったのに結局親がコートを着せる。この場合、はじめからコートを着ない選択肢はなかったと言える。)
3.ユーモアを使う
子供はとても幼い頃からユーモアの感覚を持っている。
- Fooler Approach(わざと間違える)
例えば、初めに食器の並べ方を教えた上で、そのあとわざと間違える。
そうすると子供は「違うよ、こうだよ!」と言って訂正したがる。 - Reverse Psychology(わざと反対のことを言う)
食器を並べ終わり、席についてほしい時に、「夕飯の準備はできたけど、君たちはずっとテレビを見ててくれていいよ~」というと、子供達は親の意図を理解して、我先にとテーブルに走る。 - Talking Objects(物が喋る)
靴が「早く履いてよ~!」という声真似をする。 - Transition Time(時間的猶予を与える)
すぐに動くよう指示するのではなく、「あと5分で帰るよ」と、少し前もって予告する。
4.テレビやスマホで子どもの気をそらせてはいけない
スクリーンを見せることは癇癪の解決策ではない。あとでより大きな問題につながる。
アメリカ小児学会からの推奨
- 18カ月未満:スクリーン無しが理想的
- 18カ月~2歳:条件付きで使用OK。ひとりでみないこと。教育的な内容に限り、子供が理解できる内容のものを見せること。
- 2歳~5歳:1日1時間以内で使用OK。子供自身が理解でき、自身の生活に応用できる内容のものを見せること。スポンジボブのように、展開が速すぎるものは子供には向かない。
★感想
- うちの子供にはこんな小手先のテクニックは通じないわ、とため息をつきながら講義を聞いていたけれど、帰省中に祖父母が「Reverse Psychology(わざと反対のことを言う)」をやっていたら効果てきめんだったので、私も斜に構えずに素直に育児をしていく必要がある。
- 子供のスクリーン規制問題については、耳が痛い。こんなにお砂糖天国のアメリカでも小児科医は砂糖マネジメントの必要性について日本のお医者様と同じことを言っているし、こんなにyoutubeにカラフル幼児動画があふれていても、小児科医はスクリーン規制の重要性を説いている。どんな社会であっても、然るべき立場の人はちゃんとアドバイスをしている・・・。あとは保護者が聞く耳を持つか、持たないかだけなのだ。。。