初めてアメリカに来たときは、右も左もわからず本当に大変でしたが、気づいたら1年経過していました。
アメリカ暮らしの中で感じたことを振り返ります。
<目次>
1.多様性あふれる社会
(1)多様なアメリカ。むしろ国全体で共通するものを探すのが難しい
多人種、多言語(基本英語だけど、英語よりスペイン語が得意な方も結構いる)、国内で時差あり、多宗教。
唯一の共通項か?と思う歴史も、州によって指導要領が別なので、教わり方に大きな差があるそうです。それが理由で引っ越す人もいるそうです。
思えば日本は、文化的にとても均質な国だと感じます。
言語、人種(アジア系)、地理(島国)、歴史認識(指導要領は国で統一)、言語、国内時差なし…
そんな日本で育ったので、多様すぎる国家アメリカはとても印象的でした。
「むしろ逆に、国全体で共通するものなんてあるのか?」「こんなに多様な集団が、なぜひとつの国なのか?」ということに、ここしばらく関心を持っています。
(2)多様性のルーツは?独立宣言と合衆国憲法?
アメリカの統治の仕組みが、日本と異なる"United States"であることも、ヒントであるような気がしました。
もともと独立宣言も、13州が「自由かつ独立の州であることを世界に宣言」したもの。
もともと別個の州たちが「自由」に共鳴して結束し、その在り方とルールをまとめたのが合衆国憲法と理解しています。
その独立を保ったまま、州憲法に権限のほとんどを残して発展したのがアメリカだから、多様なのも当然かもしれません。
日本でも昔は藩があって、天下統一を目指して藩同士争ったけど
アメリカはイギリスという共通の敵がいたから、州同士は争うことなく、独立を保ったまま結束したのかしら?なんて思ったりします。
(3)日本とアメリカは全然違いすぎて、対比して考えることができない
そもそも建国経緯がクリアに説明されていることも、アメリカらしさを感じます。
対して日本は、国の立ち上がりは大昔すぎて、調べても「諸説あります」ばかり。
それより日本はとても個性的なので、建国経緯よりも、文化的な面や国民性に触れて説明されることが多いように思います。
そんな日本の生まれ育ちなので、「アメリカを一言であらわすと、どのような国なのか?」という問いについても、国全体で共通する文化的なもの・国民性的なものが何かしらあるものかと思っていたけれど…、やっぱり、ないような気がしています。
良くも悪くも「アメリカ」「アメリカ人」の共通項がみつからないのです。
説明も全く違う方向からせざるを得ないし、日本とアメリカは根本的に違う国なんだと、あらためて感じました。
(4)独立した州、多様な文化、ひとつの愛国心
そんな多様なアメリカが、強い愛国心で繋がっているのは、とても興味深いことです。
この国全体に共通する特徴は見つけられていませんが、強いて言えば「愛国心」かなーと思うこともありました。
自宅の際に星条旗を立てている方もたくさんいますし、近所のレストランにはジョージ・ワシントンの肖像画と「USA is No.1!!」の絵が並んでおりました。
日本の感覚で言うと、レストランに玄関に天皇or伊藤博文やらの肖像画を飾っているような感覚でしょうか。
多様で、人によって見え方が違うはずのアメリカなのに、愛国心の強さだけは共通しているのがとても不思議で興味深い。
まだまだわたしにとって、アメリカは謎だらけ。
2.すごすぎる愛国心
(1)初代大統領ジョージ・ワシントンの邸宅で独立記念日を祝う
初代大統領ジョージ・ワシントンのプランテーション農園と邸宅のあった領域は、マウント・バーノンと言われ、現在は観光地となり邸宅ツアーをできるほか、様々な季節イベントも開催されています。
こちらで独立記念日を祝う花火があったので、参加してみました。
日本の花火大会の感覚で「子連れなので予約席がいいわぁ〜」的に予約したのですが、ガチのアメリカ人の愛国的イベントに思いがけず乱入してしまった形になりました。
(2)初代大統領ジョージ・ワシントンのショー
花火の前座として、ジョージ・ワシントンのショーがありました。
ジョージ・ワシントン役のイケオジは会場を普通にウロウロしており、一緒に写真を撮ってくれました。写真撮った後で、めっちゃ渋い小さい声で「Enjoy the firework!」って言ってくれました。
ショーの中では、ジョージ・ワシントンが1776年の独立戦争を振り返り、言葉や通貨、考え方がまるで異なる者たちが、かくも結束して(United)いること、現在のアメリカ国民を誇りに思うこと…などなど触れた上で、最後はアメリカの独立と自由の権利(lights of liberty)を祝して、英語版の万歳参照的なことをします。
万歳参照の英語版的な位置付けで"Hip Hip horray!"という掛け声があり、三唱したところでドカーンと花火が始まりました。
このショーが、アメリカの愛国心のルーツを現している気がして、とても良かったです。
DCのナショナルモールで行う、7月4日当日の花火と比べるとアットホームですが、だからこそより愛国心の強さを感じる部分もあり… 私達はアメリカ初心者で、独立記念日についても知りたいと思っていたので、ショーや邸宅ツアーもあったのは、学びがあってよかったです。
軍の歌なのか?特定の曲がかかると立ち上がって拍手する方が多数いたけど、私は何の曲なのか分かりませんでした。
白人率が8割以上、日頃感じるダイバーシティ・アメリカはいずこへ…!?!?
3.様々な人種のコミュニティが共存する街
(1)ナショナルモールの独立記念日
観客にはUSAグッズが無料配布されました。花火のラストスパートは、力強すぎてもはや爆撃のようです。
終わった後、どこからともなく「USA!USA!」のコールが起こり、愛国心の強さに衝撃を覚えました。
(2)ワシントンDCの中の日本
アメリカに来る前は、孤立無縁で異国に飛び込んでいくような感覚でしたが、日本人のお友達がこちらでもたくさんできました。アメリカ現地の方も、日本人を受け入れ慣れていて、よく日本のことを知っています。学校や病院も、英語学習者に慣れていてとても優しいです。
日本人街であり、かつ駐在員街である自分の街を見渡すと、予想以上に外国人(アメリカ以外の国から来た人)が多いです。
自分だけが余所者で、自分以外はアメリカ人!…をイメージしてたのに、実際は自分以外も結構余所者だらけだったのです。
このことについて、現地の方と話したことがありました。
そしたら「それはDMVエリアの特徴。ここはとても国際的なエリアである。あなたも含め、この土地の日本人が日本人コミュニティで助けられているのと同様に。他国の方も、インドコミュニティ、南米コミュニティ…とそれぞれみんな第一言語をベースとするコミュニティに軸足を置いている。その上で、学校など公共の場では、様々な人種が出会い、お互いに尊重しながら、学び合って生活しているんだ」と言われ、目から鱗でした。
なるほど各国コミュニティがごった煮になっているこの状態こそが「DCエリアの現地文化」なのか、と理解しました。
そしてもちろん、ごった煮の中で濃厚に存在している現地出身者のコミュニティもある。それぞれのコミュニティが完全に融合することはないけど、敬意を持って共存していく感じ。
この各国コミュニティのごった煮感は、きっとアメリカが移民大国であることに関連しているはず。日本にない独特な感覚だと思いました。
(3)異なる人々が快適に共存するためには?
日本人が…というより、私個人の資質として、みんなと同じ選択に安心するタイプなこともあり。異なる者が、異なるまま存在していくことを、これまてまイメージできていなかったように思います。
個人的に、そのポイントは、「適度な距離感」「他人と自分を比較しない」ことかと思いました。
というか、人種が違うと、何もかもが違いすぎて、そもそも比較ができないのです。
バリッバリの日本人の私も、かくも多様な国で暮らすことで「人と違ってもいいじゃないか!」と、新たなマインドセットを学んでいます。
あと自己主張の大切さなど、他にも色々と学んだことがあります。
4.後日追記
2年目以降、アメリカの歴史について学び、アメリカの愛国心は国民統合のために連邦政府が公教育の場などを活用して、意識的に高めてきたものであることを知りました。
nazekadcniimasu.hatenablog.com
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